新聞協会への公開質問状(10/01/20)

先日Webページの印刷に関することを問題視した意見書が新聞協会をはじめとする諸団体連盟で文化審議会(以下略)に対して提出されました。(意見書の全文)

この中の言い分として、WebページをPC上で見るのは広告モデルとしてPRの一環だとし、印刷して貼り出す等の行為は著作権法に定められた私的利用の範囲を逸脱しているということらしい。

デジタル・ネット時代における知的財産専門調査会というところが日本版フェアユース制度に関して議論を行っております。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tyousakai/digital/

ただ、そこで新聞協会の言い分を読むと明らかにWebという電子媒体と新聞という紙媒体というステージの違うマスメディアを完全に混同(同一視)しており、さらに協会に所属する各紙の取材における活動の際の行為については無視しており、利己主義による矛盾だらけの意見書であることが明らかです。

そこで、新聞協会に対して以下の公開質問状を送りました。
一個人の問い合わせに対して、回答がくるか否かは不明ですが掲載しておきます。


社団法人 日本新聞協会 ご担当者様

貴協会を主とする連盟の意見書を拝見させていただきました。
Webにおける営業活動として各社ニュース配信を行っておりますが、私自身Web作成を行うものとして、同じマスメディアの舞台に立っている者として質問させていただきます。
(Webは営利法人だけではなく、個人も大衆に意見を出せるマスメディアと認識しております)

確かにWebそのものの作成に関して、労力を払い取材を行い、それを元に作成しているという点は理解できます。

しかし、プリントアウトに関して私的利用の範囲を超えるとおっしゃるのであれば、あなた方新聞制作側の記者がWebから情報を取得し、印刷して取材に利用するのは、営利活動を行っているわけですので、私的利用の範囲を大幅に逸脱しているのはないでしょうか?

自分たちが私的利用の範囲を大幅に逸脱している行為を行っておきながら、そのことを棚に上げ、他方だけを侵害だと声高らかに訴える行為はいかがなものでしょうか?

さらに、意見書内で『読者がこれを印刷して、その出版物などの購読の代替として利用することを想定したものではありません。』とありますが、それならトピック部のみ公開し、本文を読むためには有料会員登録をする等、既存の技術で十分対応可能にもかかわらず、掲載誌と同じ記事内容をWebで公開しておきながら被害甚大だということ自体に、説得力を感じられません。

以上のことを踏まえて以下の質問をさせていただきます。
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(1)既存の技術を利用することで十分対価を得ることが可能にもかかわらず、無償公開しておきながら、基本的技術(Webの印刷)を否定することへの矛盾を感じませんでしたか?


(2)現在新聞記者が取材活動を行うにあたり、資料としてWebからの印刷物を手にした姿を多数見受けます。(私個人のWebを印刷しているものも見たことがあります)

彼らはそれを元に営利活動を行ったとすれば、これは私的利用の範囲を大幅に逸脱する行為に当たると見なされますが、この際印刷する際にすべてWebの作成者に対して印刷および取材利用する旨を申し入れていますか?

少なくとも私は一度も問い合わせをうけたことはありません。


(3)無断で使えない司法判断は確定という項に関して、こちらは見出しのみの掲載が引用か剽窃かという問題を問うたものだと記憶しております。これをWebの印刷に関連させることは完全にこじつけと思われます。なぜこの全く異なる問題の判例を意見書に記載されたのか、その意図を聞かせていただきたい。


(4)Web印刷を否定されるのであれば、Web上での記事公開を止めるというのがもっとも妥当な手段だと思われます(Webの印刷はソフトウエアの基本機能であり、その機能そのものを止める手段はないため)が、その意志はありますか?

あるいは現在のように本紙と全く同じ文書を掲載する行為やYahoo!等のポータルサイトへのニュース配信もすべて取りやめるということはお考えですか?

※ポータルサイトへの配信されたニュースについて、文書そのものは新聞社に著作権はありますが、Webページそのものはポータルサイトに著作権はあります。そのため印刷の是非を言う権利は新聞社にはないため。

以上ご回答いただければ幸いです。

なお、上記質問は公開質問状として以下URLにも掲載いたします。