サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!

ご存じ「日曜洋画劇場」での故淀川長治さんの終わりの挨拶です。11月11日に惜しくも永眠されましたが、日本一有名な人はこの人じゃなかったでしょうか?
今の首相の写真と淀川さんの写真を並べて「この人知ってますか?」って街角でアンケートしたらきっと淀川さんはみんなが知っているでしょう。

本業の映画評論家の仕事ではかなり辛口な批評をしていますが、どちらかというと最近の映画にかなり厳しい目をしているようですね。たしかに金はかけたら超大作!と宣伝を売っている映画がどれだけあったでしょうか?あの「タイタニック」もどこかのアナウンサーが「感動しました」というコメントに、同席していた淀川さんが「あんた、単純だね」って返事してそのアナウンサーが赤面したとか・・・
ただ「感動した」大勢の人に淀川さんはもっと他に見るべきところがあったでしょ、と言っているようなきがしました。

さてさて・・
淀川さんの映画観には必ずと言っていいほど「愛」があります。恋愛や人間愛などの愛情を非常に大事にしています。それは自分の母親からの大きな愛があったからこそと著書「わが映画人生に悔いなし」でも語っています。この本の中では自分の母親についてのいろいろな話をしていますが、そのなかには「愛」がいっぱいです。ぜひごらんあれ。
後半には、さまざまな「愛」が盛り込まれた映画の紹介もあります。

※「わが映画人生に悔いなし」日本文芸社刊 ISBN4-537-05021-7 定価980円

先日「日曜洋画劇場」で淀川さんの最後の映画解説がありましたが、かなりやせて声もかすれて苦しそうな感じで最後の「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」をされていました。30年間やってきたこのトレードマークは、第1回目の「ララミー牧場」のときにチャップリンには山高帽がと言うように、みんなトレードマークを持っている。じゃあ、と言うことでニギニギと一緒に始めたそうです。

でも、あの最後のが見られなくなるととても寂しくなりますね。「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」はほんとうに映画に対する愛情がこもっていたような気がします。いまごろ淀川さんは天国で、チャップリンやヘプバーン、キャグニーやクーパーなど往年の大スターと楽しく映画の話をしているんでしょう。

淀川さん楽しい時間をありがとう。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ!