新着情報

【えびの高原の火山活動に関する最新情報】
【4/28:硫黄山周辺の立入規制範囲が拡大されました】
【4/30:韓国岳登山道の一部が変更されました】

2017.5.9(最終更新日)

上空から見たえびの高原。写真中央やや左の白い頂上部を持つ高まりが硫黄山。

 このページでは、えびの高原の火山活動に関する最新情報について解説します。1961年まで硫黄採掘が行われるなど活発な噴気活動が見られたものの、1990年代以降は衰えて噴気が途絶えていたえびの高原。その硫黄山周辺では、2013年末ごろから火山性地震が増加し、また隆起を伴う火山性微動も時折発生するなど、火山活動が活発化した状態が続いています。2015年12月には、10数年ぶりに噴気活動が再開し、現在も活発に継続しています。えびの高原周辺にお越しの際はこのような火山活動の状況や推移に十分に注意してください。


1.えびの高原の火山活動の状況
霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)火山の状況に関する解説情報(臨時)【5月8日16時00分】(福岡管区気象台・鹿児島地方気象台)
→気象台によるプレスリリースです。以下、写しです。

(見出し)
<噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)が継続>
 4月25日11時頃から硫黄山南西観測点の傾斜計で、硫黄山方向が隆起する傾斜変動が繰り返しみられています。引き続き今後の火山活動の情報に注意してください。

(本文)
1.火山活動の状況
 4月25日11時頃から硫黄山南西観測点の傾斜計で、硫黄山方向が隆起する傾斜変動が繰り返しみられており、現在も隆起が継続しています。その他の傾斜計には特段の変化は認められません。監視カメラによる観測では、5月5日に噴気が稜線上で90mまで上がるなど、噴気活動が活発化しています。5月5日以降も引き続き火山性地震は少ない状態で経過しました。火山性微動は観測されていません。5月5日からの火山性地震、火山性微動の発生回数は以下のとおりです。なお、回数は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。  

             火山性地震  火山性微動     
   5月 5日        3回     0回  
      6日        0回     0回    
      7日        0回     0回    
   5月 8日15時まで   0回     0回
 
 監視カメラや現地調査では、長期的に熱異常域の拡大や噴気の量の増加が認められます。

2.防災上の警戒事項等
 火口内では、火山灰、噴気、火山ガス等の規模の小さな噴出現象が突発的に発生する可能性があります。噴気地帯の周辺では、火山ガス(硫化水素)にも注意してください。噴気地帯の周辺や硫黄山南西側の登山道では、地元自治体による立ち入り規制や、迂回路の設定等に従ってください。引き続き今後の火山活動の情報に注意してください。

<噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)が継続>

さらに詳しい火山解説資料はこちら↓
霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)の火山活動解説資料【4月28日16時30分】(気象庁)


2.えびの高原周辺の立入規制の状況
 以下の図の範囲において、えびの市による立入規制が行われています。また、宮崎県により、韓国岳の登山道の一部が通行禁止となり、それに伴って迂回路が新設されました。

▲立入規制区域全体図(赤線の内側が立入禁止)。黄色の実線が韓国岳登山道に新設された迂回路。(宮崎県HPより引用)


▲上の図の詳細版。(宮崎県HPより引用)


▲新設された迂回路には、両側に黄色いロープが張られています。
 通行される際は、ロープの内側を歩いてください(4月30日撮影)。

詳しくは、えびの市および宮崎県のホームページを参照してください。
えびの高原(硫黄山)周辺の立入規制区域の拡大等について(えびの市)
29年4月29日韓国岳登山道迂回路設置について(宮崎県)


3.現地の状況
 4月30日の硫黄山(えびの高原)周辺の様子です。


▲韓国岳登山道(噴気が最も激しいところから直線距離で約300m地点)から撮影した硫黄山。
 左:2017年4月30日、右:2016年2月5日にそれぞれ撮影。


▲勢いよくガスを噴き上げる噴気孔(上の写真と同じ場所から撮影)。
 ジェット機のエンジン音のような「ゴォーー」という大きな音がします。

★噴気の動画をYouTubeにアップロードしました。ぜひご覧ください。
https://youtu.be/G3-cG8qaos0


▲不動池からえびのエコミュージアムセンターに至るトレイル沿いの沢の水が白濁しています(かつて”川湯”が見られたところです)。水温は測定していませんが、手で触れたところ、普通の川の水の温度とほとんど変わりませんでした。沢沿いは硫化水素臭がやや強く感じられました。


4.えびの高原の火山活動史について
 えびの高原周辺には、円形の火口がいくつも点在しています。最近(約9,000年前の不動池溶岩の噴出以降)のえびの高原では、大きな火口をつくるような爆発的な噴火が、噴火のたびに火口の位置を変えながら繰り返されてきました。多数の火口湖の存在が示すように、えびの高原では地下の浅いところに豊富な地下水の層が存在することから、噴火の際にマグマと地下水が接触してマグマ水蒸気爆発を生じることが多いのが特徴です。

  1. サイズの大きな図はこちら
  2. 参考文献:田島靖久・松尾雄一・庄司達弥・小林哲夫(2014) 霧島火山,えびの高原周辺における最近15,000年間の活動史.火山,59,55-75.

 えびの高原の噴気活動の昭和時代以降の推移については以下の舟崎ほか(2017)の付録の図が参考になります。これによれば、噴気活動も時間と共に場所を変えながら推移してきたことが分かります。
参考文献:舟崎淳・下村雅直・黒木親敏(2017) 霧島連山えびの高原,硫黄山の明治時代以降の地熱活動資料.験震時報,80,1-11.

  1. えびの高原の噴気について【2016年2月20日】(togetter)
    →霧島ジオパーク顧問で火山学者の井村隆介准教授(@tigers_1964)の見解です。


  2. 5.硫黄山の噴気活動について

     硫黄山で観測されている硫化水素ガスは毒性の強い無色の気体です。硫化水素ガスは空気よりも比重が大きいため、地形的に低いところにたまりやすい性質があります。風のない日などはとくに注意が必要です。
    硫黄山周辺の火山ガス濃度測定結果(宮崎県)
    →宮崎県が毎週3回10か所で測定している硫化水素と二酸化硫黄の濃度です。県道沿いのM1、M8地点は高い硫化水素濃度が観測されています。
    火山ガスと防災/東工大火山流体研究センター・平林順一(日本火山学会第9回公開講座)
    →火山ガスの種類・性質・事故の事例などが詳しくまとめられています。


    6.関連リンク
    鹿児島地方気象台
    宮崎地方気象台
    えびのエコミュージアムセンター
    宮崎県
    えびの市
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