はじめて自分のPCを!~PC-88VA2
はじめて、自分専用のPCを買ったのは大学に入ってからのことで、当時3つの選択肢があった。8ビットとはいえソフトが豊富な88シリーズでいくか、16ビットの高性能でこれからのホビーユースが開拓されるであろう98シリーズ、マニアに絶賛されて迎えられたシャープのX68000。
結局ホビーパソコンとしての王道に踏みとどまっていた88シリーズにしたのだが、当時発表されていたのが88シリーズの中でも異端児的存在だったVAシリーズだった。CPUにV30というCPUを搭載して、『PC-Engine』というMS-DOSの改良版ともいえる、OSを搭載しての堂々の登場だった。
この選択を後々後悔することになる・・・・と、思いきやいきなり後悔する羽目になった。
ソフトがなかった・・・(というよりほとんど発売されていなかった)
専用ソフトといえば、とんでもなく高いビジネスソフトの他は、日本ファルコムから当時発売されていた「ソーサリアン」シリーズくらいのもので、あとは88シリーズの使い回しで、VA本来の能力を発揮できるものが少なかった。
仕方なく、BASICでいくつかのプログラムを作って使うことに・・・
そのなかでも、自分が気に入っていたのは「Paint fot VA2」だった。256色モードと65535色を使い分けて、600×400ドットまでのCGを描けるようにしたツールで、鉛筆モードとペンモードを持っていて虫眼鏡機能も搭載した、自分でもなかなかよくできたソフトだった。もっとも、BASICだったことと保存画像がBASIC標準でカバーしていたモードのみだったので画像データが莫大すぎたという欠陥のあるツールだった(^^;
他に気に入っていたのはエニックスが出していた「フォーミュラ」という作曲ソフトで、数字入力の他譜面入力もOK、またサウンドクリエイト機能も持っていて、FM音源の音色を自分で好きに作れたのが特徴で、いろんな楽譜や作曲して遊んだ。
いまとなっては、タンスの奥で眠っているがたまに引っぱり出して遊んでみたいPCである。
PC-88VA2
PC-88シリーズの中でも最高級のPCで16ビットCPUによるV3モードではFM音源6音とSSG音源3音、リズム音源1音の合計10音(サウンドボード2相当、98シリーズで言う86音源に相当)の贅沢な環境と、スプライト(ファミコン等でゲームキャラクターを動かす時に使う機能)をサポートした強力なグラフィック機能をもっている。
メモリーは512KB、2HD 5’FDDを2基装備。マウスも標準でサポート。専用モードであるV3モードは、当時の機能ではトップクラスを誇った。
NECがX68000に対抗して発売したPCだったが、その後のサポートもなくすぐに過去のものになった。
もっとも、長く使うユーザーもいてNiftyには未だにユーザーによる情報交換が続いている。(執筆当時)
用語解説:
88シリーズ:
PC-8001に続く高性能8ビット機としてゲームユーザーに愛された。CPUにはZ80が主に使われて、のちの98シリーズに続くことになる。
98シリーズ:
今も続くNECオリジナルのBIOSで動くPC。国内で400万台以上出荷されて日本のパソコン普及の礎になった。
いまでこそNXシリーズとなってAT互換機一色にはなってしまったが、マイクロソフトと協力してMS-DOSやWindowsを作り上げたパワーには敬服。ただ、EPSONの互換機裁判などを代表とするように閉鎖的な態度をとったことが今となっては惜しまれる。オープンアーキテクチャーであったならまだ生き残れたかも・・
PC-Engine:
88VA用に作られたDOSの名称。NECからは同名のゲーム機も発売されたが全くの別物。DiskBasicも内蔵されていてMS-DOSよりも少し上のような気がする。
X68000:
シャープが発売したホビー用PC。発売当時グラディウスというゲームソフトが付属していたが、その出来には絶賛の声も高い。CPUにはマックでも使われたモトローラの68000というのが使われている特徴。
おまけのクイズ:
PCメーカーの老舗「IBM」はもともとは略名です。さあ、それでは何の頭文字だったのでしょうか?答えは次回