「茶わんむしのうた」は,県民のだれもが愛唱する歌として広く知れわたり,最近ではNHK教育テレビ「にほんごであそぼ」でも歌われるなど,鹿児島を代表する歌の1つであります。
しかし,この「茶わんむしのうた」は,この宮内小学校が発祥の地ということはあまり知られていません。みなさんご存知でしたか?
このページでは,宮内小学校でうまれた「茶わんむしのうた」について簡単に紹介したいと思います。
「茶わんむしのうた」は,今からおよそ100年前の大正10年(1921年)に宮内小学校に勤務されていた故・石黒ひで先生が,学校対抗の学芸 会で披露した劇「行きくれし旅の子」の劇中歌として作詞・作曲されました。戦後になって,鹿児島の民謡の発掘・収集・普及活動に努めた故・久保けんお先生が天保山中学校在職中に採譜されました。
劇は不幸な生い立ちの少女が主人公。境遇の似た旅の三姉妹と共に,吹雪の森から春の野山へ抜け出て希望を見出すストーリー。森を出た 先の峠で少女らは茶店に立ち寄る。そこで「茶わん蒸し」を注文したところ,料理名を知らなかった店の女性が「茶わん虫」と勘違いし,「あらよー,茶わんむしごわすか」と言って歌いだす。
<歌詞> うんだもこら いけなもんな あたいげんどん ちゃわんなんだ 日に日に三度もあるもんせば きれいなもんごわんさー ちゃわんについた虫じゃろかい めごなどけあるく虫じゃろかい まこてげんねこっじゃ わっはっは |
<意味> まったくそれは どんな物なのですか? 私の家の茶碗は 毎日,日に3回も洗っているため 清潔なものです 茶碗についた虫のことでしょうか 洗い物かごなどをけちらして歩く虫のことでしょうか まったく恥ずかしいことです わっはっは |
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<解説> ある茶店で客が「茶わん蒸し」を注文しましたが,主人・店員とも「茶わん蒸し」の料理を知りませんでした。 主人は,客に出したお茶に虫がいたと勘違い。店員を呼びつけ「お前は茶わんを洗ったのか?茶わんに虫がついているとお客さんが言っているぞ。」と言います。 店員は「日に日に三度も洗っているんです。いったいその虫は茶わんにひっついていた虫でしょうか。それとも洗い物かごなどをはね歩く虫でしょうか。茶わんについている虫なら私の責任ですが。」と息巻くのにお客さんが大笑いするという場面。 |
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★「茶わんむしのうた」は1番の歌詞がよく歌われているため,2番3番の歌詞があることを知らない人もたくさんいるようです。★
<2番> うんだもこら いけなもんな あたいげんどん嫁じょなんだ 日に日に三度もちけんせぇば きれいなもんごわんさー 顔についたけしょじゃろかい 化粧についた顔じゃろかい まこてげんねこっじゃ わっはっは |
<意味> まったくそれは どんな物なのですか? 私の家のお嫁さんは 毎日3度も化粧しているから 綺麗なもんですよ 顔についた化粧なんだか 化粧についた顔なんだか まったく恥ずかしいことです わっはっは |
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<3番> うんだもこら いけなもんな あたいげんどんむひこぉなんだ 日に日にろっどもくろもんせぇば たまげたもんごわんさー あたいがちかたがすねたろかい あてごた茶わんがこめたろかい まこてげんねこっじゃ わっはっは |
<意味> まったくそれは どんな物なのですか? 私の家の息子は 毎日6度もおかわりするから 驚いてしまいます 私のよそい方が少ないのか あてがった茶碗が小さいのか まったく恥ずかしいことです わっはっは |
うんだもそんた いけな虫な あたいがへん 茶わんなんだ 日に日に三度も あれもんせば きれいなもんぐわんさ 茶碗にでける 虫ぢゃろかい めごなんどへあるく 虫ぢゃろかい ほんにげんねこっぢゃー |
原曲は現在歌われているものとは多少違います。 出だしの「うんだもそんた」は「うんどもこら」に,「あたいがへん」は「あたいげんどん」に,「茶碗にでける」が「茶わんについた」と変わっています。 最後の「わっはっは」はなく,「ほんにげんねこっぢゃ」と歌い切り,怒った女性を店主が出てきて勘違いを指摘して幕となる展開だったそうです。 |
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